人気ブログランキング | 話題のタグを見る

< 「凶   手」 >  アンドリュー・ヴァクス 

 私立探偵バークを主人公とした作品と全くちがった作品である。
全体的に暗い感じであり、セックス描写も淡々とした描写で高揚したところがない。冷酷非情の主人公をただひたすらに描いている。
あらすじは
「彼の名はジョン、あるいはゴーストとも呼ばれている。一切の武器を持たないハートレスの殺し屋だ。精妙な感覚と異様な剛力を秘めた両手が唯一の凶器。そのまがまがしい手で、請け負った仕事を確実にこなしていく。しかし、仕事以外のことには感心も知識もなく、しかもひどく無口なので、他人からは頭が弱いと思われている。そんな彼が初めてシェラと会ったのはシアトルのストリップ・バーだった。彼女は店の踊り子で、二人は互いに同種の人間である事を嗅ぎ取り美人局のコンビを組んで、デンヴァー、ヒューストン、ニューオリンスと放浪のたびを続けた。ところが、タンパという町で二人は殺人事件に巻き込まれて、シェラは失踪、ジョンは殺人犯として刑務所で三年間過ごした。出所後ジョンは、姿を消したシェラを探し出す事しか頭になかった。しかし、手がかりは全くない。何としてもシェラと会い、逃げた理由を直接聞き出したい彼は、どんな危険な仕事をも引き受けながら、シェラ探しの旅を続けた......。」
 この小説は、それぞれの章にダイヤ、クラブ、スペードのマークがはめ込まれていて、原書から写した扉にはトランプの絵札に模したエッチングがあり、中央はキングかクイーンの代わりに黒豹が、三つの隅にはダイヤ、クラブ、スペードが描かれている。だが、四つ目の隅は空白のままだ。ハートがない。つまり、ハートレスなのだ。因みに凶手を辞書で引くと【凶漢の毒手、凶行をしたがる者】と出ている。
by mikannohanasakuok | 2005-08-20 12:38 | 読書