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マリア・シャラポア


子供のころの苦しい生活から逆境に立ち向い、世界のトップに躍り出るシャラポアの生き方。
『志ある者は事意に成る』

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 「ロシアの観客の前で最高のテニスを見せて勝ちたい」。シャラポアは10月のモスクワでのクレムリン・カップに強い意欲を見せた。2007年の国別対抗フェドカップからロシアチームに参加すると表明、08年の北京オリンピックへの夢も語り、「ロシアのためにプレーしたい」と母国への思いを何度も口にした。
 4大大会の頂点に立ち、モデルばりの容姿も相まって「世界で一番有名なロシア人」とも言われるが、母国との関係はこれまで希薄だった。7歳で渡米してからモスクワ訪問は二度目。ロシア語で臨んだ記者会伝では、質問を何度も聞き返す姿に記者団から苦笑がもれた。

 旧ソ連時代、ベラルーシにいた両親は1986年のチェルノブイリ原発事故を逃れてシベリアに移住。苦しい生活の中で熱狂的なテニスファンの父親が4歳の娘にラケットを与え夢を託した。ロシアでテニス教室を開いた旧チェコスロバキア出身の米国選手マルチナ・ナブラチロワに見出され、米フロリダの名門テニススクールの門をたたいた。そのとき、父親の所持金は500ドルだったという。
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 「私は精神的に強い。どんな障害にあっても目標を成し遂げる。私はロシア人だから」。逆境から渡米して手にした成功。ロシア人であることを強調した背景には、国際的な名声と比べると冷めた母国の反応があるようだ。

 女子テニス世界ランキングのトップ十位以内には現在、ロシア人選手4人が名前を連ねる。世界的な人気と実績はシャラポワが飛び抜けるが、ロシア国内では世界ランク7位のエレーナ・デメンティエワら本国を拠点とする選手のほうが人気がある。

 ネイティブとはいえないロシア語、流ちょうな米国なまりの英語、「叫ぶシンデレラ」と形容される闘志むき出しのプレー。ロシア人に言わせると、「シャラポアはロシア人というよりアメリカ人」。こんな声は最近の愛国主義の高まりや米ロ関係の悪化にも反映しているように見える。・・・・・・


シャラポワの略歴

  • 1987年 ロシア・シベリアに生まれる
  • 1995年 渡米
  • 2003年 AIGジャパンオープンでツア初優勝
  • 2004年 全英オープン優勝
  • 2005年 世界ランキングで一時1位に
  • 2006年 全米オープン優勝


2006・10・31「日本経済新聞」より


by mikannohanasakuok | 2006-11-01 21:34 | スポーツ