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高レベル放射性廃棄物

 原発の使用済み核燃料(ウラン燃料)は、再処理工場で化学処理され、プルトニウムとウラン、その他の核分裂生成物に分離される。プルトニウムとウランは燃料として再処理できるが、さまざまな放射性物質が混じった核分裂生成物は、もはや利用できない。これが高レベル放射性廃棄物だ。

 高レベル廃棄物は極めて放射能が強く、そばに人が立つと20秒程度で死亡する。このため、放射能が弱まりほぼ無害になるまで、数万年にわたって地中深くに埋設し人間から隔離するというのが、最終処分事業の考え方だ。

 高レベル廃棄物の最終処分場は、10万年間の地層の隆起量が300メートル以下の地点を選び、高レベル廃棄物を地中300メートル以深に埋設する。一般には地中は地表よりも揺れが小さく、地震の影響を受けにくいが、付近に活断層や火山がないことも確認する。

 埋設時には、核分裂生成物が拡散しないよう溶けたガラスに混ぜて固めた「ガラス固化体」を1000年間は腐食に耐える鉄容器に入れ、周囲を固い粘土で密閉し、地下水との接触を防ぐ。仮に処分場が地震で破壊されても、深い地中では地下水の移動速度が非常に遅く、放射能が地表に流出するには相当の時間がかかり、少しずつしか放流しないため、自然界の放射能レベルに大きな影響は及ぼさないとされている。

 作業服や廃液などの廃棄物は低レベル廃棄物として分類され、一部はドラム缶に詰め、青森県六ヶ所村の日本原燃で保管される。最後は土をかぶせて埋める。

2007・3・3「読売新聞」より

by mikannohanasakuok | 2007-03-24 09:54 | エネルギー